2012年に発行された一冊の本を紹介します。タイトルは「日本ではなぜ福音宣教が実を結ばなかったか」という刺激的なものとなっています。プロテスタント宣教の歴史だけでも150年以上経っていて、世界3位の宣教師保有国である日本がこれほどまでに福音伝道の実を結べていないのは不思議なことであり、多方面でその理由が研究されています。この本もその一つとして、日本内の牧師・信徒・未信者にインタビューした内容から導き出された結論としての三つ理由とその考察を述べていますが、その内容を3週間に渡って紹介したいと思います。
第1の理由は「日本の教会がキリストの心を具体化していない教会であったから」です。言い換えると「日本の教会が神の国を現すような真の教会でなかったから」とも言えます。そうなった背景には、日本のクリスチャンの信仰の弱さがあります。また、聖書が教える神の国と教会の本質を受け止め損ねたことが原因として挙げられます。つまり、本来あるべき教会の姿の実現に失敗したのだが、その理由は信仰の弱さと誤認識があるということです。確かに、聖書が教える教会の姿を日本の社会の中で実現することは難しさがあります。私たちがいつも学んでいるように、使徒2:42-47に描かれている最初の教会の姿、すなわち「使徒たちの教えを守り、交わりを持ち、パンを裂き、祈り」を捧げる共同体の姿の実現を目指していくこと、それが多少の難しさがあったとしても、主が願われている教会の姿である確信と信仰を持って励んでいくと、素晴らしい福音伝道の実を結ぶことができるのだと、そう信じて共に励んでいきたいと願います。次週は引き続き第2の理由について考察します。