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牧会コラム

#98 スカンヂナビア人宣教師の日本伝道事始

私たちが所属する日本同盟基督教団の始まりは、1891年11月に日本に上陸した15名の宣教師に遡ります。その宣教師たちの書信を翻訳し、まとめたものが教団から出版されています。「スカンヂナビア人宣教師の日本伝道事始」(いのちのことば社)がその本です。その内容から15名の宣教師たちの日本宣教への献身の高さと初期の大変な苦労が伺えます。

 当初、日本宣教は中国宣教の玄関的な存在として知られていましたが、スカンヂナビアン・アライアンス・ミッション創設者フレデリック・フランソン師は日本宣教の重要性を訴え、宣教師を募集します。それに応答して名を上げたのが18歳から35歳までの若さを持つ15名の献身者でした。彼らは、いのちをも差し出すほど強い献身の思いを持っていたことが手紙から読み取れます。彼らは来日早々、片言の日本語でトラクトを配りながら伝道をする姿が描かれています。また、開拓が困難な未開地であった飛騨高山地方に赴いて、祈りつつ礼拝場所を探した姿を見ることができます。日本を理解すべく努め、非常に礼儀正しい日本の姿に驚いていました。さらには、日本の若者たちの識字率がヨーロッパよりも高いことから、日本宣教への希望を見出していました。しかし、そんな彼らには多くの苦難が待ち構えていました。来日した翌年には、仲間宣教師の一人を天然痘で失ってしまいました。わずか19歳の若さでした。暴動によって死の危険を乗り越えたことも度々ありました。何人かの宣教師たちは、病気や異端教会への転身のため帰国しました。そのような様々な試練に屈することなく日本宣教に励んだ宣教師たちが残してくれたものが、私たちが属する教団の基礎であったのです。

 彼らのストーリーを読んでいるうちに、6組の教団派遣の宣教師たちのことが思い浮かびました。彼らが遣わされた国と民族に福音を伝えることで、数十年後には、彼らが築いた宣教の基礎の上に建てられた教会から、多くの宣教師を送り出すことでしょう。そんな宣教師たちの尊い宣教の働きを祈りと捧げ物を持って支えて行きましょう!