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牧会コラム

#120 良書紹介「東大教授、若年性アルツハイマーになる」

本書は、脳外科神経科の医師として勤め、後に東京大学教授にもなって旺盛に活動していた50代後半の若井晋さんが若年性アルツハイマーを発症し、それを受け入れ生きる姿を妻の克子さんの目線で書かれた本です。どこから勧められたか忘れてしまいましたが、夫婦がクリスチャンであるということで興味を持ち、手にとって読んだのですが、とても読みやすく、良い内容だったので概要を分かち合いたいと思います。 晋さんは、2001年(当時54歳)ごろから漢字が思い出せなくなったそうです。手書きのノートに書けなくなった漢字を練習するため何度も綴っている様子が描かれています。アルツハイマーになったかも知れない。脳の研究をしていたので、自分自身が一番よくわかっていたことでしょう。医師であった自分がその病気を患ったことへの複雑な想いから、なかなか病院にかかろうとしない夫を説得して病院で受診をしましたが、やはり結果はアルツハイマー。特に、言語能力が失われているという診断でした。海外での医療活動にも積極的に取り組んでいた晋さんは、英語も堪能でしたが、次第に言葉や思考能力が失われていきます。そんな彼らの心を支えていたものは、大学時代に受け入れたイエス・キリストへの信仰。キリスト教集会で知り合い、結婚に導かれた彼らは、最後まで教会や信仰に支え、生きることを諦めることなく、悲観することなく、受け入れ、乗り越えていく姿に心打たれました。アルツハイマーや認知症は誰が発症するか全くわからない病です。でも、どんな病に対しても、信仰を持ってそれを受け止め、主の御心のうちに歩めば、主はその人生を豊かに用いてくださるのだと思わされました。ぜひ一読ください!